2011年 03月 02日
ショールーム巡り・その2 LED編
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ずっと気になっていて,いまだに手が出せていないもの.それはLED.
昨今,東芝が白熱電球の生産を中止したとか,メディアなどでもLED照明のことをさかんに取り上げられている.うちは間接照明などに蛍光灯を使うことはあっても,いまだに白熱灯が照明計画の中心だ.コストの問題もあるけれど,やはり安心感というかどうしても使い慣れた照明を使ってしまうということもあると思う.
ただ最近ではお施主さんからも,LEDについての質問をよく受ける.そこで自分たちでも最新のLEDを取り巻く現状について把握すべく,友人の照明デザイナー梅田かおりさんに相談して,彼女イチオシのDAIKO(大光電機)のショールームへと足を運んだ.
DAIKOではかおりさんの紹介ということもあり,担当者がずらりと出てきて事細かにLEDを巡る”今”について説明してくださった.またDAIKOにはオリジナルのシュミレーションルームもあってこれもまた非常にわかりやすかった.
今回のショールームでは目から鱗の連続だった.照度や演色性,配光などどれをとっても既に白熱灯と遜色がないレベルまで技術は上がってきているようだ.コストも思いのほか下がっていて,まだ白熱灯の安さには及ばないけれど,かなり住宅全体での採用にも現実的なレベルになってきていると感じた.
白熱からLEDへの移行は,レコードからCD,あるいは手描きからCADへの移行とも少し似ている.私も最初に入った事務所では手描き図面を仕込まれたから,CADへの移行には当初抵抗がかなりあった.
エンピツの濃淡に精魂を込めて描いていた図面が,味気ないデジタルデータになってしまうなんてと思っていたけれど,今ではもう手描き時代には戻れない.大学で1年生に線の引き方を教えながらも,iPOD世代の学生にレコードの良さを説いているようなものだと感じることもある.
少なくともあと10年もすれば確実にLEDが建築照明の中心に座っていることだろう.白熱灯はなくならないけれど,いわばレコードと同じ運命を辿るのかもしれない.
一方で今現在ではLEDはまだまだ発展途上で,今導入する人はまだリスクがあるとも言える.ある意味家電やパソコンの世界と同じで,「買いたいときが,買い換え時!」ということのようだ.
ただ建築のように何十年も使い続けるものに,家電的な性格を持つ,ある意味刹那的な器具を導入するのはいかがなものかという疑問もいまだに拭い去れない.ただそんな思いも,時代の流れの中であっけなく呑み込まれていってしまうのだろう.
by riotadesign
| 2011-03-02 09:38
| 仕事