今朝の新聞にこんな投書が載っていた.アメリカに住む男性からの投稿だ.
アメリカでは今「日本は本当に助けを求めているのか」という話題がネット上で盛んだという.現地の義援金はハイチ地震のそれを大きく下回っているといい,その原因は日本人がはっきりと「Please Help」と言わないことにあるという.日本はもっと海外にむけてはっきりと助けを求めるべきだとその男性は結んでいた.
確かに悲劇や災害に直面した時,外部に助けを求めないというのは,ある意味日本人の美徳のひとつかもしれない.大変な時でも大変な顔を見せない.日本人は逆境の際に逃げ出したり,弱音を吐くという行動を極端に嫌う民族だともいえる.
例えば太平洋戦争では,日本は負け戦を認めず,神風特攻や玉砕の道を突き進んだ.そこには,相手の手にかかるくらいなら潔く散ることを良しとする価値観が日本人のメンタリティの根底にはあるからだ.
昨日は東京電力が,フランスの専門機関に協力を要請したことが「
白旗」と報じられた.事態を収拾するためには当然の措置とも思えるけれども,日本人はそれを潔しとしない.
またこの有事に外国人はいち早く国外に避難した.けれども東京周辺では関西方面に避難した人たちに対しても風当たりが強い.職場放棄とみなして解雇同然となった人の話なども聞いた.この違いは一体何なのだろう.
日本が誇るデザイナーの一人,吉岡徳仁氏は震災直後に世界に向けて「
Please Help Japan」と題した声明を出し,国際援助を求めた.その時点で「HELP」という言葉を使っていたのは吉岡氏だけだったと思う.僕の中にも海外に助けを求めるという発想がなかったから,ずいぶんと新鮮に記憶に残っている.
そういえば昨日のサッカーのチャリティマッチは,合言葉は「がんばろう日本!」だった.
「助けて」ではなくて「がんばろう」.
自分たちの手に負えないと判断したら,そこは素直に助けを求める姿勢も大切だ.けれども僕は日本人の,「自分たちの力でなんとかしよう」という心意気がやっぱり好きだ.
「がんばろう」という言葉には,自分ひとりじゃないんだという温かい言葉の響きがある.そして「助けて」よりも「がんばろう」という方が,気持ちがぐっと前に進む.
豊かな言葉を持つ日本人は,何よりもその日本語の持つ美しい響きに助けられているのではないかと思う.がんばろう日本.