2009年 04月 13日
となりの家
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自宅の中庭から一軒の家が見える.
この家を建てるときには老夫婦が住んでいたのだけれど,今は空家になっている.
けしてきれいな家ではないけれど,昔ながらの瓦屋根で,昭和の匂いがするなかなか風情のある家だ.自宅の庭と一体化するような,そんなひっそりとした佇まいが気に入っていた.
ただ空家の宿命として,いつか壊されて家が建つのだろうと思っていたら,数日前から業者が出入りするようになり,とうとう解体工事が始まることになった.とうとうこの家ともお別れだ.
いつも我々は解体する側で,つい先日も施主の敷地の古家を解体したばかり.
施主も我々も,目下最大の関心事は新しい家のことであり,むしろ古家は早く解体したいとすら思ってしまう.この隣家も,まわりから見れば朽ちた古家のひとつでしかないかもしれないけれど,こうして名残惜しく思う人も中にはいるということを今回身をもって知った.
またこの周辺の用途地域はゆるやかで,3階建ての住宅が建てられるエリアになっている.もちろんそこにメリットを感じてこの土地を買ったのだけれど,逆の立場になったときに感じるこの不安感についても,ある意味勉強になった気がする.
せめて安直な家ではなく,良心的な設計による美しい家が建って欲しいと思うのはわがままだろうか.逆に我々の設計する敷地隣人達の願いもそうであると思いたい.
by riotadesign
| 2009-04-13 13:36
| 生活