現在プロトハウスが組織する
MotherProjectというプロジェクトに参加しています.様々な問題を抱える仮設住宅問題に取り組むプロジェクトです.いろいろ葛藤を抱えながらの参加でしたが,メンバーの方々と一緒に考えてゆくにつれ問題の核心が少しずつ見えてきました.
その中で思ったのは,当面の仮設問題はもちろんですが,現在提供されるべき仮設住宅と今後の復興住宅というのは,果たして全く別の考えで良いのかということです.
大量に建設された仮設住宅は,約2年の居住期間を終えた後は再び廃棄物の山を築くことになります.それらを処分するためには,大量のエネルギーとCO2の排出を伴うことになります.限られた予算と時間の中で理想を追うことは極めて難しいことですが,逆にもう少し時間軸を引き延ばして考えれば,もう少し合理的で現実に即した住まいのありかたを提案できるのではないかと思います.
そんな思いを同じくする仲間と共に,今後の被災地の復興住宅のあり方を探っています.我々の提案は,仮設住宅に限定しない住宅のありかたを考えるというものです.
『1000万円で建てるカーボンニュートラルハウスの提案(CNH1000)』
関本竜太+坪井当貴+五百川真里恵
カーボンニュートラルというのは,カーボン(CO2)をニュートラル(中立,つまり増やさない)という社会的な取り組みのことです.これからの住まいは,エネルギー問題,温暖化対策といった問題に対して,より明確に意識を置いたものになると思います.そしてここで重要なことは,それらが極めてローコストに建設されなくてはいけないということです.
これまでの環境配慮型住宅は,太陽光発電や燃料電池など,数百万の単位で投資が必要なものばかりでした.地球環境のことは考えたいけれどそんなにお金はない,という人は甘んじてそれらに目をつぶるしかありませんでした.ましてや,家を失った被災者の住まいにそのような設備は望むべくはありません.けれどもそんなに高価な設備を使わなくても,身近なところから住まいのカーボンニュートラル化はできると我々は考えています.
我々のプランでは,最初は小さな家から,その後に少しずつ必要な広さと快適性を住まい手が選択肢しながら成長してゆけるような住まいや,水回りをコンテナでパッケージし,母屋を敷地を選ばずフレキシブルに展開してゆけるような住まいを提案しています.
これらの住まいは自立建設型住宅ですが,今すぐは無理としても,仮設住宅が一段落して,いざ本設住宅を建てようというときには必ず役に立つ考えです.あるいは今すぐ復興住宅を建てたい,でも予算は非常に厳しいという方にも参考にして頂けるプランだと思います.
ここで示されているプランは,現時点でのイメージをわかりやすくまとめたもので仮のものです.リアリティのないところでいくら考えても,ここまでが精一杯でした.具体的な仕様や現実的な要望を盛り込んだプランなどは,現地の状況を見極めながら考えたいと思いますので,ご興味がある方はどうか気兼ねなく
コンタクトしてください.
これらは大海に小石を放るような無力な試みかもしれませんが,MotherProjectをはじめ,こうした無数の小石の波紋が,行政や大手メーカーでは扱うことができない個人の問題を救う唯一の方法であると信じています.
「1000万円で建てるカーボンニュートラルハウス」提案書
関本竜太+坪井当貴+五百川真里恵
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関本宛までメールください.
被災地に向けた緊急提案内容ですので,首都圏で同コストで建てられるということではありません.